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した。
現在、水資源の豊かさを計るのに人口あたりの総降雨量という考え方があります。この考え方に従えば、水が豊かだと信じている我が国日本は、サウジアラビア以上に水資源に乏しい国、ということになるそうです。人口の急増は、この貴重な水資源をますます希少なものとしています。
水はすべての生物が生きていく上で不可欠なものです。いかなる生物も水なくして生きていくことはできません。淡水と一見無関係な海水資源でさえも、川から流れ込む栄養分なくしては、存在し得ないということが判っております。
この問題を解決する上で、私たち人類ができることは人口増加を抑制し、環境への負荷を軽減し、自然環境に負荷を強くかけない生き方を実践し、豊かな自然を涵養することだと思います。
また、水には大きな教育的効果があります。水は、どんなに教育のない人にとっても、切実に必要なものです。この水が悪ければ、その地域の公衆衛生の改善も、なかなか望むことができません。いかなる母親にとっても、我が子の生存と健康は何物にも代え難いものであり、切実なものです。「水」を通した教育を行うことは、まさに乾いた大地に雨が染み込むがごとく、人々を潤すのではないでしょうか。
このことは、人口問題の解決を図る上でも重要な要諦であります。また、農業においても同様であります。「水」を中心として、村の発展を図ることもできます。人々の切実な希望をくみあげ、そのニーズに合った教育を提供することで、私たちは未来への展望を開くことができます。
私たちが取り組んでいる、人口問題は、ここ神戸が見舞われたような、天災ではありません。私たちの努力と人々の理解があれば回避可能な問題です。未来を希望あるものとするために、今、人がなしうる努力を最大限、行おうではありませんか。
今会議で熱心な討議が行われ、それが各国の政策に反映されることを確信しております。

 

ご静聴ありがとうございました。

 

 

 

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